「くじけませんように」
2017年、
台湾、山の上の街、
見上げる空は妙に近くて、雲が風と一緒にものすごい速さで流れていた。
ずっと見上げていると目が回った。
紙製の風船を前に、筆を持って、
ここに願い事を書くのだと。
願い事は空に上がり、風に乗って神様のところへ届くのだと。
2018年
年が明けしばらくして、ひとりマンションを出た。
歩いてすぐ、町内に小さな神社がある。
提灯とかがり火に照らされる人影はまばらだった。
拝殿で一礼二拍手、
さきごろ引っ越してきたご挨拶と、
こういうときは願い事を念じるものだっけ。
受験生のころは非常にわかりやすかったけれど。
最近、
はて、願い事ってなんなんだろう。とおもう。
叶えたいことはあるけれど、
それはわたしが頑張るしかないものであり。
ほんとうにほしいものは願っても手に入らないし、
大切なひとたちは手の届かない場所にいて、
わたしが願わなくたってちゃんと元気で幸せでいるだろう。
あの空の上におられるのかこのお社の中におられるのか、
神様、に願い事が届くとして、
わたしはわたしなりにほどほどに、
もがきながら生きていくと思いますので、
ちょっとだけ手助けしてもらえるのならば
どうか、
「くじけませんように」