背伸びしてみる景色

5milli/みっしゃん/そのほか

2018-01-01から1年間の記事一覧

《おふろ考》

《おふろ考》@詩人狼村2nd・調 いいにおいのする石鹸が手から滑って湯船に落ちたゆるやかに溶けていく毎日広くて深い場所へ行きたい 泡のようになめらかに世界を滑って走れるかな川のように平然と下から上へは流れずに 海へ おぼれるシャワーの耳元でだれか…

《あんみつ》

《あんみつ》@詩人狼村2nd せせらぎを固めて四角、切り分けてお匙に乗せし、夏のあこがれ 白玉に、あんず、白桃、すっぱいミカンあの日千切って捨てた花びら 豌豆は、最後に残るわだかまり蜜と一緒にかみしめ呑みこむ こし餡と、つぶ餡、きみはどちらが好き…

「なんにも変わっちゃおらへんよ」

不意に記憶の中の声が、 たぷん、と心の中に沈んでくる。 殺伐とした日々だ。 毎日カップラーメンを買っては食べられずストックし、 毎日アイスクリームを買っては食べないまま眠りこんでしまい、 冷凍庫の中がやけにカラフルとなった。 その隣には解凍する…

「いまが分かれ目ですね」

前髪を切ることは選択肢になることすらなく、それは必然だったらしい。 「切りますね」と言われ、わたしは「はい」と承諾する。横分けにして耳にかかるくらい伸びた前髪は、いちはやく簡単に切り落とされて終わった。 「いまが分かれ目ですね」とは、わたし…

中学校の図書館というキーワードからの回想

はじめて一人で京都市内へ出かけたのはたぶん中学2年生のときで、あ、バッチリ校則違反でした(大人同伴でなければ市外へ出てはいけなかった) なぜかJRではなく、バスを使ったのを覚えています。老ノ坂を越えて。なぜでしょう。理由が記憶にない。 そうして…

「言葉が必要なんだ」

年が明けて何をしたかといえば、おそらく人様の役に立つようなことはなにもしていない。 実家に帰ってさんざん犬を撫でくりまわしたので、犬の役には立ったかもしれない。 本を読み、漫画を読み、Wikipediaを読み、ときどき音楽を聴いたり動画を観た。初詣の…

「くじけませんように」

2017年、 台湾、山の上の街、 見上げる空は妙に近くて、雲が風と一緒にものすごい速さで流れていた。 ずっと見上げていると目が回った。 紙製の風船を前に、筆を持って、 ここに願い事を書くのだと。 願い事は空に上がり、風に乗って神様のところへ届くのだ…