「言葉が必要なんだ」
年が明けて何をしたかといえば、おそらく人様の役に立つようなことはなにもしていない。
実家に帰ってさんざん犬を撫でくりまわしたので、犬の役には立ったかもしれない。
本を読み、漫画を読み、Wikipediaを読み、ときどき音楽を聴いたり動画を観た。初詣のおみくじは「吉」だったのですてきな当たり障りのなさだ。
そして休暇最後の日に、ライブを観て映画を観た。
わたしには咀嚼が難しい映画であったけれど、不意に飛び込んできて心に住みついたセリフがある。
ある男の嘆き。
「おれには言葉がない。言葉が必要なんだ」
少なくともわたしには言葉はある。
なにはなくとも言葉はあるよ。と、おもう。
そしてここしばらく、自ら発した言葉のことを考える。
ただいまおかえり
ちょっとしたゲーム
電話
LINE
新年の挨拶
ひさしぶりの会話
その、たびたび交わした言葉はだれのもの
だれかに必要とされる言葉を吐くことができただろうか。できるだろうか。