背伸びしてみる景色

5milli/みっしゃん/そのほか

「なんにも変わっちゃおらへんよ」

不意に記憶の中の声が、

たぷん、と心の中に沈んでくる。

 

殺伐とした日々だ。

 

毎日カップラーメンを買っては食べられずストックし、

毎日アイスクリームを買っては食べないまま眠りこんでしまい、

冷凍庫の中がやけにカラフルとなった。

その隣には解凍する気力も失ったうどんがうずくまっている。

 

たのみにしていたいくらかの希望、

たのしみにしていたいくつかの出来事、

いちどにいろんな事が変わりすぎて、

すっかり参ってしまった。

 

でもきっと、ほんとは

「なんにも変わっちゃおらへん」のだ。

 

世界はいつも穴ぼこだらけ、

すてきに不変で不完全だった。

その穴を避けることを、忘れていただけ。

 

不意に記憶の中の声が、

たぷん、と心の中に沈んでくる。

あたたかい生き物が乗っかってるみたいで、

ちょっと重たくてかなしい。

 

でも、しばらくはこのままで。