「なんにも変わっちゃおらへんよ」
不意に記憶の中の声が、
たぷん、と心の中に沈んでくる。
殺伐とした日々だ。
毎日カップラーメンを買っては食べられずストックし、
毎日アイスクリームを買っては食べないまま眠りこんでしまい、
冷凍庫の中がやけにカラフルとなった。
その隣には解凍する気力も失ったうどんがうずくまっている。
たのみにしていたいくらかの希望、
たのしみにしていたいくつかの出来事、
いちどにいろんな事が変わりすぎて、
すっかり参ってしまった。
でもきっと、ほんとは
「なんにも変わっちゃおらへん」のだ。
世界はいつも穴ぼこだらけ、
すてきに不変で不完全だった。
その穴を避けることを、忘れていただけ。
不意に記憶の中の声が、
たぷん、と心の中に沈んでくる。
あたたかい生き物が乗っかってるみたいで、
ちょっと重たくてかなしい。
でも、しばらくはこのままで。